夕方の差分イラストの制作方法を解説 これでノベルゲーム背景イラストが描ける!~差分編1~
2018.04.27
ノベルゲーム背景イラスト講座です。「主人公の部屋」のような”ゲームでよく登場する室内の背景”をモチーフに制作手順や描き方のポイントをご紹介するシリーズ。
これまでに背景イラストを描くレイアウトの作り方、彩色方法を手順を追って解説してきました。そして、今回は仕上げ編です。
こちらは前回まで進めた状態です。仕上げ編では、窓からの光や床の映り込み、全体の明暗を調整して雰囲気を作っていきます。
▼目次
光の差し込みが分かりやすくなるように、部屋全体を暗く調整します。
調整方法にトーンカーブを使用します。
彩色したレイヤー(もしくはレイヤーグループ)の上にトーンカーブの調整レイヤーを追加しましょう。
トーンカーブとは明るさやコントラストを調整するツールです。グラフの中央と右側を少し下に下げると、全体を暗くできます。
調整レイヤーを入れて暗くすると、窓や天井の照明など、本来の明るさを維持したい部分もまとめて暗くなります。
このような場合は、調整レイヤーについているレイヤーマスクを使って、効果を出したくない部分をマスクしましょう。窓ガラス部分の選択範囲を作成し、マスクを黒く塗りつぶして下地の明るさを出します。
調整レイヤーのレイヤーマスクを、ソフト円ブラシなどのフチがぼけたブラシで薄く塗ることで、部屋全体の明暗を細かく調整できます。
今回の例では調整レイヤーで全体を暗くしたので、マスクを黒く塗ることで下地の明るさを出します。さらに、部屋の隅が暗くなるようにマスクを調整しました。
窓から入り込む光の効果を入れます。調整レイヤーの上に、ソフトライトモードのレイヤーを追加し、そこに光の色で薄くブラシをかけます。作例では淡い黄色を選択しました。
さらにオーバーレイモードのレイヤーを追加し、より明るい色合いで窓ガラス付近にブラシをかけます。すると、窓外から強い光が差しているように見せられます。
フローリングの床には、板の溝や木目を描いてありますが、もう少し光が当たっている雰囲気を出すために光沢感を追加します。
方法としてクリッピングマスクを使います。床を描いたレイヤーグループを元にクリッピングマスク作成し、色を塗る範囲をまとめて指定しましょう。(※この機能は古いPhotoshopでは使用できません)
さらに、オーバーレイモードのレイヤーを追加し、明るい色で塗れば下地の木目や溝を表示させたまま、より明るくできます。
フローリングの床は、鏡のように物が映り込むように見せると、よりきれいな印象になります。また、床に接地しているように見せられます。
床への映り込みは、家具類のレイヤーを反転させて……というように、素材をコピーしての作成はできません。それが可能なのは一部の構図のみです。通常はレイヤーを追加して映り込み部分も描き込む必要があります。
床の映り込みは鏡のようにすべて見えている必要はありませんので、少しだけ反射があれば十分です。映り込む形に合わせて選択範囲を作成し、乗算モードのレイヤーで薄く映り込ませたい材質の色でブラシをかけましょう。
最後にハイライトを追加して、光沢感や質感を強調します。
覆い焼きカラーモードのレイヤーを追加して描くとよいでしょう。覆い焼きカラーモードは、先に100%の黒で塗りつぶしてから使用すると、強く光ったような効果を加えることができます。強く塗ってしまうとコントラストが強くなりすぎて、色トビしてしまうので、薄く弱くブラシをかければOKです。
以上で完成です。次回はこちらの背景イラストをベースに、夕方・夜の差分にイラストの制作方法をご紹介します。
また、これら背景イラストは自著である『背景CG上達講座』(翔泳社)に詳しい解説がありますので、よろしければそちらもご参考下さい。
▼『背景CG上達講座』
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798137568
pixiv https://pixiv.me/bcd
twitter https://twitter.com/poskara
フリーランスのイラストレーター。専門はゲーム・アニメの美術設定、背景イラスト制作を手掛けています。イラスト制作業務のかたわら、専門学校で背景イラスト・アートワークの講義を担当。
著書に「背景CG上達講座」(翔泳社)。講師としては、岩崎学園横浜デジタルアーツ専門学校 非常勤講師、専門学校東京ネットウエイブ 非常勤講師、バンタンゲームアカデミー 講師を勤めています。