比率のバランスから学ぼう! 斜め顔と斜め後ろから見た顔の描き方
2016.12.21
「斜め顔と斜め後ろから見た顔の描き方」に引き続き、リアルな人物の顔の描き方をアタリから説明していきます。
今回は、あおりと俯瞰(フカン)のついた顔の描き方がテーマ。苦手意識を持つ方が多いあおりと俯瞰ですが、ポイントは「パースのつき方をアタリから捉える」「パーツの見え方の構造的理解」です。
あおりと俯瞰が描けるようになると、表情がグッと豊かになります。特徴的な構図以外にも、上を向いている顔や下を向いている顔も描けるようになり、ポーズの幅も広がりますよ。アタリの描き方・読み解き方から覚え、できる!という実感に繋げられるように頑張りましょう。
アオリ、俯瞰ってなんだっけ? おさらいしたい人はこちら!
▼目次
正面を向いた、あおりの角度のついた顔を描いていきます。
まず、アタリの基礎となる球を描きます。そして中心より上に十字を描き入れましょう。この十字で顔の角度を決めることができます。十字から立体感を拾うよう、横に線を伸ばし、アタリの眉線(眉の高さを決める線)を描き入れしょう。
耳の上端は、眉線の高さと一致します。
つまり、あおりの角度がついている顔では耳は必ず眉より低い位置にあります。また、角度が強いと顎のアタリ(赤ラインで示している線)は球体の中に入り込みます。
アタリの上に頭蓋をかぶせて描いたものです。実際には顔を描くたびに、いちいち頭蓋を描く必要はありませんが、骨のどの部分が見た目に影響するのかを覚えましょう。
ここでは、アタリの補助円の位置に沿って輪郭が決定していること、眼窩(目の穴)は眉線にかぶらないことなどを確認してください。顎の先が前に向かってせり出しているイメージをつかみましょう。
男性の、女性に比べてやや太い首、女性のふっくらとした唇など、性差を感じさせるポイントが、あおりのついた顔でどのようにあらされているかを確認しましょう。
顔の輪郭が六角形になることを意識すると良いでしょう。頬骨の位置で横幅が広くなります。
あおりの角度を描くとき、顎の下に落ちる影を意識しましょう。また、顎から首を生やしてしまわないよう注意します。
耳の後ろから鎖骨の真ん中に向かう胸鎖乳突筋が、最終的な首のラインを決めています。
あおりの角度では、目は台形型をしています。台形型が描きにくいときは、等高線を描いて下まぶたのラインから取っていくと良いでしょう。
下から見た鼻の付け根は弧を描きます。唇は真っすぐ引き結んでいても山形に見えます。また、唇は他のパーツより弧が強くなり、これは歯列のカーブが関係しています。
描いた顔に違和感があるときは、アタリを参考に平行する弧を意識して、左右のパーツにずれがないかを確かめましょう。
正面を向いた、俯瞰の角度のついた顔を描いていきます。
今度は球体の下半分に十字を描き入れ、顔の角度を決めましょう。十字から球体の立体感を拾うように線(眉線)を伸ばし、耳の位置を決めます。
耳の上端の高さは眉線の高さと一致するので、俯瞰の角度がついた顔では、耳は眉の高さよりやや高くなります。
正面向きのアタリと似ていますが、顎を長くとりすぎないように注意しましょう。うつむき加減の頭部は、頭頂部が見えます。位置を把握しておくとつむじを描くときに便利です。
アタリの上に頭蓋をかぶせて描いたものです。骨のどの部分が見た目に影響するのかを覚えましょう。
あおりの角度と同じく、アタリの補助円の位置に沿って輪郭が決定しています。下顎の骨は耳側に向かって削げていくため、頬骨に比べて幅をやや狭く描きます。顎のアタリ(赤く引かれた線)の中に、歯列が収まっていることを確認しましょう。
俯瞰のついた顔では、眉と目の間がやや狭くなります。彫りが深いと、眉が目にかぶるように見えることもあるでしょう。男性女性ともに、首の幅は顎の幅をこえない方が、自然に見えます。
それぞれのパーツはひとつの流れに収められるます。
俯瞰の角度から見た顔でも、眉、耳から鼻先、口元、顎を一つの流れの中に収められます。口の幅や、首の幅は見失いやすい角度なので、確認方法をおさらいしてみてください。
俯瞰の角度から見た目はアーモンド形で、彫りが深いほど影が強く落ちます。下まぶたの粘膜が覗くように描くと、ぐっとリアルになるでしょう。
鼻は穴が見えず、▽型に見えるでしょう。
俯瞰の角度から見た口は、引き結んでいても谷型に見えます。あおりの角度と同じく、他のパーツよりもやや弧を強く意識して描くと良いでしょう。
今まで数回にわたって、様々な方向から見た人物の顔の描き方をアタリから説明してきました。今回の一連の講座を通してアタリを理解することで、頭部全体の構造とプロポーション、パーツとパーツとの関係が一緒に覚えられるでしょう。
実はこのことが、アタリが描けるようになる以上にとても重要です。
なぜなら構造やプロポーション、パーツ同士の関係性の理解は、描画のどの段階でも自由に取り出し、絵に不自然さが出ていないか、不自然さが出ているなら理由はどこにあるのかを確認し、自力で訂正する手がかりを与えてくれるからです。その自力で確認、訂正する力を「デッサン力」と呼ぶこともできると思います。
今回の一連の講座が皆さんの「デッサン力」の一助となること、皆さんのイラストレーションがより魅力的なものになるお手伝いができることを願っています。
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皆さんのお絵かきの、「できた!」と思える一瞬のお手伝いができれば幸いです。